Microsoft のソリューションパートナーになる

パートナー

いろいろな背景があり転職経験が多いのですが、直近で在籍した3社はいずれも Microsoft のソリューションパートナーでした。友人・知人からソリューションパートナーになるための支援をしてほしいという話が連続して来たので少し記載したいと思います。※個社用にロードマップ書いたり資格取得の建付けや営業のフロー改善などもやらせてもらったりしていますが記載するのはさわりの部分だけです。

ソリューションパートナーとは何か?

少し前の話ですが、大手企業の資料や名刺などで企業ロゴの下に「Gold Partner」とか「Silver Partner」のような記述や「Gold Datacenter」とか「Silver Cloud Platform」のような書き方がされているのを覚えている方もいるかと思います。

あれは Microsoft のパートナー認定制度のひとつで「コンピテンシー」と言われる制度だったのですが、現在は「ソリューションパートナー」という制度に変わっています。

詳細:ソリューション パートナーの指定の概要

Microsoft AI Cloud Partner Program

Microsoft AI Cloud Partner Program (MAICPP)という Microsoft のパートナー向けのプログラムがあります。これはパートナーに製品ライセンスの利用特典、技術スキル取得支援、インセンティブなどのサポートを提供していくプログラムです。

今回のタイトルになっているソリューションパートナーもこのひとつです。

この MAICPP というプログラムに参加することで「ネットワークメンバー」となります。それぞれ単体で調達するよりもかなりお安く製品ライセンスや技術サポートを受けられる、サブスクリプションの「アクションパック」を購入することも可能です。

資格取得やテストの合格などの技術条件や実績を登録することでスコアが加算され、100点満点のうちの70点以上(かつ0点の項目がない)などの条件をクリアすることで「ソリューションパートナー」の権利を購入することができます。

さらに上位には「Specialization」や「Azure Expert MSP」というものもあります。

図:Microsoft Cloud Partner Program(MCPP)ガイド より引用

なぜ一部で「ソリューションパートナー」が注目されているかというと、特定のソリューションに対して一定の実績や技術力が認められたという Microsoft からのお墨付きをもらうことで社会的信用が得られることもそうですが、それ以外にも様々なメリットがあるからとなります。

ちなみにネットワークメンバーのランクでも登録するとメリットはあります。CDX と言われるデモ環境(お勉強環境にも利用可能)が作れるようになるので非常に便利です。CDXは大手SIer だと知っているけど中小の SIer の方は知らない方が多いように思います。

少し古いですが下記のような記事も書いていますので参考になれば幸いです。

ソリューションパートナーのメリット

MAICPP の説明の際に「製品ライセンスの利用特典、技術スキル取得支援、インセンティブ」という内容をを記載しました。

このブログを見ている方の大半は Microsoft 365 に興味を持たれている方かと思いますので、そこに関係するソリューションパートナーの「Modern Work」を例にして少し掘り下げてみます。

製品ライセンスの利用特典

下記の通りで様々な特典を得ることができます。

Microsoft E5 がライセンスで「Microsoft 365 E5 (Teams なし)」だと仮定して、直接購入で 8,208円/月なので Modern Work で考えると 200 ライセンスで約1,970万円/年となります。

Visual Studio Enterprise Subscription も直接購入で770,991円/年なので Modern Work で考えると 25 ライセンスで約1,928万円/年となります。※Visual Studio Enterprise Subscription は Azure のクレジットが毎月150ドル分使うことが可能なのでこの観点で計算してもすごい額となります。

これを年会費4,730USD(160円計算で約76.6万円)で購入できます。※7/1時点で確認したところ消費税もかかるので78万とちょっとでした。

図:Microsoft Cloud Partner Program(MCPP)ガイド より引用

Modern Work の詳細を記載すると下記のようになります。

図:Modern Work ソリューションパートナー 概要資料 より引用

技術スキル取得支援

少し前は mstep オンライン や mstep クラスルーム(リンクはすでになくなっている) がわかりやすかったのですが、それ以外でも Partner University で勉強が出来たりします。

Partner University の使い方については下記をご確認ください。

インセンティブ

特定の条件をクリアすることで Microsoft からインセンティブをもらうことが可能となります。ネットワークメンバーやアクションプランでは対象とならないため、競合他社と価格競争をする場合においてもこのインセンティブを考慮して提案を行うなんて話も大手ではよく聞く話です。

Microsoft は6月決算の会社であり7月から FY25 となっているためこのインセンティブの内容も変わっています(説明会はすでにあったのだが Copilot がやはり増えた)

そのため資料が手元にないのもあり詳細はここには記載しませんが、近日中には公開されると思うのでオフィシャルサイトでご確認ください。

パートナー インセンティブ
ビジネスの変革。成長のサポート。収益性の向上。

情報はどのように取得をするのか?

後述するようなオフィシャル情報はありますがタイミングを逃すとなかなか情報が入ってきませんし、自習するとしてもわかりにくいという意見をよく聞きます。すでにパートナーであり Microsoft との関係があれば、支援をしてもらうことはできると思いますが、新規となるとかなり苦労をするというのが私の周りの会社の意見となります。Microsoft 製品のデリバリー経験が多い会社でもパートナー制度を理解している人がいないケースでは、なかなか対応が出来ていないというのが実情のようです。

※少しでも助けになればと思って今回はさわりの部分だけを記載しますが、これをさらに噛み砕いて説明してほしいとか自社に合わせて話をしてほしいとなるとコンサルとしてでしたらご協力させていただきます(笑)

私がどうやって情報を取得したのかという点で記載をすると大きく二点です。

パートナーポータル(オフィシャルサイト)
パートナーセンター

「当然じゃないか!すでに見てるよ!」という方が困っている方のほとんどだと思いますが、作りがわかりにくかったり、わかりやすい情報源にたどり着いていないだけで実際はこの2つからの動線でかなりの部分を理解することができます。

最初は私も全然わからずに五里霧中の中を歩いていた感じでした。すごい動作が遅いパートナーポータルの中で迷ったり、リンクを踏んであれこれ読みましたが全体が見えていないのでさっぱり理解できない状況でした。転機としては目の前の疑問点を素直に Support Request で質問することで適切な資料の場所を教えていただいて、資料の全体を読んで何がポイントなのかを押さえたうえでパートナーセンターで実際に確認して、ソリューションパートナーになることでようやく少し理解ができたという経験をしています。

読むのを推奨する資料

目の前の困っている部分だけ対応するのではなく全体を把握するという意味ではこのあたりの資料はかっちり押さえておかないと結果的に遠回りとなると考えています。※資料は Microsoft のパートナーでないとアクセスできないものもあります。

① お役立ち資料 の Microsoft Cloud Partner Program(MCPP)ガイド
② お役立ち資料 の 取得したいカテゴリの資料
③ Microsoft Commerce Incentive Resources の Microsoft Commercial Partner Incentives Guide

取得を検討している場合に覚悟をしていただきたいこと

ほとんど日本語での資料がないことを覚悟してください。
※どうしても日本語がよいのであれば Learn で学ぶこともできますが、体系だっていないのできついと思います。誤翻訳も多いために読み解ける力が必要になるのでそれであればブラウザ翻訳しながらの方がよいかと思います。

パートナーセンターは恐ろしく重いのでかなり時間がかかることを覚悟してください。
※この業務に対して評価をされる方は、是非この重いという部分を考慮して評価してあげてください!(時間で評価してしまうとモチベーション一気に落ちると思います。)

営業フロー・教育計画・デリバリー戦略など様々な観点で全体的に設計していく必要がでてきます。それをできる人間が管理監督者にアサインしないと茨の道になるのでアサインや支援体制は適切にしてください。

業務次第でソリューションパートナーの取得難易度が違います。同じ立ち位置の会社でない限り丸パクリしてもハマりませんので自社の業務に沿った形でしっかり検討ください。
※ある程度の規模の会社は Microsoft とのリレーションシップの要員がいたりします。これは片手間であれもこれもできるものではないということの例ですし、外注に丸投げしてなんとかなるものでもありません。最低でも最初はしっかりと対応しないと組織全体として長期的な動きはとれないと思います。

今回書いた理由

私は以前 ISV で働いていました。その際に官公庁や教育機関の仕事もしており、Microsoft 365 Education などの特殊ライセンスを使うこともありました。

この Education は一般法人向けの Business や大企業向けの Enterprise などと大きく違ってサービス名は同じでも UI が違うとか挙動が違うなどが普通にあるため、一般のライセンスを普段使っているエンジニア泣かせのライセンスです。

顧客にデリバリーするにあたり Educaiton ライセンスを用意して同じ環境をつくらないといけないのだが、通常は購入できないので ISV 担当のMicrosoft の担当に相談したら「日本では SIer からも同様の話を相談されるがライセンスを売ることはしていない。CDX 環境で対応しているようだ。」とのことなのでここで普段意識していないパートナーを意識するようになりました。

ISV なので当然パートナーになっており CDX もすぐに使えて業務は何とかなったのですが、今回改めて調べてみてびっくりしたのは、ソリューションパートナーの場合は M365 Edu A5 が特典の中に含まれていたのでこれを知っていたらもっと話が早かったのになんて思いました。

おそらく大手 SIer などでもパートナー関連は一部の方だけが情報を持っている状況が多いかとおもいますが(インセンティブの部分だけは教育する会社多いけど)、知っておくことで業務の際に役になったり、営業の方法が広がったりすると思いますので制度自体は把握しておいた方がよいと思います。

文中にも少し記載しましたが、ご興味があれば有料でコンサルしますのでお声がけください(先日退職したことをブログに書きましたがそれ以降で支援させていただいて1社ソリューションパートナーになっています。それ以外に友人の会社2社ほど情報提供などさせていただいています。)

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