「ライセンス違反はしたくないけど、どう買ってよいのかわからない」という方向けの記事です。
4月から新年度という会社が多いため、この時期はライセンス周りの相談が非常に多くなります。その中でもOffice(Word/Excel/PowerPointなど)の適切なライセンス購入となると意外と知られていないように思います。特に「共有PC」の Office についてはそもそもの認識が間違っているためにテキストコミュニケーションでは難しく、会議体で説明するということが多いように思います。
今回は法人向けのOfficeの買い方についての整理をしていきたいと思います。(個人のライセンスも書くと混乱することが多いので割愛します)
ライセンスを深堀すると複雑になるのでシンプルな記載に留めて、よく問い合わせを受けるシナリオをベースに書いていくので最後まで一読いただければと思います。
社会人としてのモラルの問題
いうまでもないことですがライセンス違反はやめましょう。システム的に「できること」と「やっていいこと」は違います。
「出来たから問題ないと思っていた」「システム的に制御していないのが悪い」というのをいう方が一定数いますが、読み飛ばしている利用許諾などに書かれているわけで、そういう方が悪いということを理解してください。
例えるなら「道行く人を殴ってはいけない」というのは常識の範囲であり「殴られないようにすべきだ」とか「殴っても逮捕されなければ問題ない」というのと同じだと思ってます。
「バレますか?」とか聞いてこないでください……(切実)
買い切り型とサブスクリプション型
買い切り型:支払いは1回で永続利用可能。サポートは購入バージョンにより限定的となる(Office 2024の場合は2029年10月9日まで)
注意点:権利としてはずっと使い続けられるが、セキュリティ観点から発売して5年の期間経過後はサポートがなくなるため買いなおしとなる。
サブスクリプション型:支払いは毎月ないしは毎年となり支払いしている限りは使い続けられる。サポートは最新のものが提供される。
一般的なリセラーさんやディストリビューターさんに詳細なく相談した場合やネットで検索するとおそらくサブスクリプション型での検討が最初に始まるかと思います。
サブスクリプション型の前提としては「インターネットに接続できること」という暗黙の了解があります。ここがクリアできないセキュアな環境のPCや製造現場のデバイスなどは「Office LTSCを検討する」の部分を読んでいただければと思います。
Office単体での購入を考えた場合
Business規模(300人未満)の場合
・検討するライセンス:Microsoft 365 Apps for business
・注意点:Enterpriseとは別物であり、基本的に別アプリとして管理をする必要があります。制約が多いので一定のシナリオにおいては Microsoft 365 Apps for Enterprise を選択するシナリオがある。
Enterprise規模の場合
・検討するライセンス:Microsoft 365 Apps for Enterprise
単体として考えると上のような整理となります。GWSなどすでに他のSaaS型のグループウェアを使っている場合はここで終わるケースも多いですが、オンプレミスであったりグループウェアの入れ替えを検討している場合は下記のシナリオになるケースが多いです。
グループウェアも一緒に検討する場合
Business規模(300人未満)の場合
・検討するライセンス:Microsoft 365 Business Standard/Microsoft 365 Business Premium
・注意点:Microsoft 365 Business Basic の場合はアプリ版が使えずにWEB版だけとなる。
Enterprise規模の場合
・検討するライセンス:Office 365 E3/E5 or Microsoft 365 E3/E5
・注意点:Office 365 E1 の場合はアプリ版が使えずにWEB版だけとなる。
補足:Microsoft 365 は Office 365 + Enterprise Mobility and Security(EMS) + Windows というパッケージとなる。セキュリティとOSの高度な管理を行うことができる。
メインのグループウェアとして利用するのであれば、クラウドの認証基盤としてIdP(Identity Provider)の機能がある方が良いので、Microsoft Entra ID P1ライセンスがある方が良いです。
この観点を考慮すると下記の通りになります。(個別でMicrosoft Entra ID P1を買うシナリオは割愛)
Business規模(300人未満)の場合
・検討するライセンス:Microsoft 365 Business Premium
Enterprise規模の場合
・検討するライセンス:Microsoft 365 E3/E5
共有パソコンがある場合
Microsoft 365を利用の場合に共有パソコンを使う人「全員が」ライセンスを持っているかどうかで検討方法が変わります。
全員が対応するライセンスを持っている(ないしは購入する)
→共有パソコン用の設定をして利用をする
対応するライセンス
・Microsoft 365 Apps for enterprise
・Microsoft 365 Apps for enterprise を含む Microsoft 365/Office 365
・Microsoft 365 Business Premiumで契約したMicrosoft 365 Apps for business
基本的にMicrosoft 365 Apps for enterprise が必要なのですが、例外的に Microsoft 365 Business Premium に含まれる Microsoft 365 Apps for business だけは、共有コンピューターのアクティブ化(Shared Computer Activation)に対応していると考えると理解しやすいかと思います。
全員がライセンスを持っていない
→「Office LTSC(現行はLTSC 2024)」を検討する
実際はアプリ版の利用をあきらめてWebブラウザでの利用のみで問題ないかを検討することも多いです。WEB利用の観点としてMicrosoft 365 F1(閲覧のみ)/F3(編集可能)を検討することもあります。
注意:ここで少し詳しい方などは実際に出来たものは問題ないと勘違いするケースがあります。ライセンス持っている人の権利を使って別のPCにインストールして他の人に使わせるといった運用を見かけることがありますが、使う人がライセンスを持っていないとライセンス違反になるということを理解しましょう。
Office LTSCを検討する
通常の Microsoft 365 で提供される Office に関連するライセンスは「ユーザーライセンス」となります。この Office LTSC は「デバイスライセンス」となります。
共有PCであったりインターネットに接続ができない端末などはこの「デバイスライセンス」で購入いただくこととなります。
一般的なシナリオでは「ユーザーライセンス」よりも安価になることが多いですが、1人で複数のデバイスをインターネット接続なしに使うというセキュアな環境でお仕事をするケースなどは高くなりますのでご注意ください。
Office LTSC のオフィシャルのサイト
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/enterprise/microsoft-office-volume-licensing-suites-comparison
Office LTSC の詳細は古いですがこちらの記事がわかりやすいです。
新しい法人向け永続版Office「Office LTSC」って何?
ライセンスを安くしたいとか、クラウド環境の最適化の相談をよく受けますが、悪気なくライセンス違反をしている方は結構多いです。くどいようですが、「できること」と「やっていいこと」は違います。正しい知識で正しい運用をして違法利用の方がいなくなって、日本だけライセンス費用が安くなるなんて未来があるとよいですね♪
