業務で使う知識だけだと他社の方と会話するときにポイントがズレるということがあります。
SIerなどで全体的にやっている方だったりすると網羅的に学ぶことができることもあるのですが、ユーザー企業だと自分の会社の設定以上のことを知ろうとするとあまり機会がないためにブログやSNSになりがちですし、あれこれ設定をするために手を動かすという方は比率的には少数なのかなと思います。
ユーザー企業以外でも私が所属するISVという業種の場合は特定領域以外はやらないので、詳しいところと全く知らないところの差がかなりあったりします。
ジェネラリストになろうという大げさな話ではないですが、少し視野を広げることで再発見もあるとおもうので勉強してみませんか?という投稿となります。
「ISVの元現場責任者が考える資格について」というのを書いたことがあるので、よければこちらもご覧ください。(https://note.com/hero1008/n/n10f7b190c840)
MCP試験ってなに?
Microsoft Certifications Programの頭文字をとってMCPと略しています。一言でいうとベンダー試験であり「マイクロソフト認定資格」とも言われています。書くまでもないですが国家資格ではなく民間資格となります。
MCP試験はマイクロソフト製品に対する知識や技術を持つ人を認定する世界共通の試験です。
何の試験を受ければいいのか?
自分が興味がある分野や業務で使う分野から受けていけばよいと思います。
試験は「アルファベット2文字」-「数字3桁」という仕組みになっており、アルファベット2文字がジャンルを表して、数字3桁で試験を分けています。900番台だけが特殊で「fundamentals(基礎/基本)」と言われるものに割り当てられており、初学者はこちらを受けることを推奨します(試験価格も安くなっている)
「アルファベット2文字」の部分をシンプルに区分けをしていくと下記のようになります。
MS-XXX ⇒ Microsoft 365関連の試験
AZ-XXX ⇒ Azure関連の試験
SC-XXX ⇒ Security関連の試験
PL-XXX ⇒ Power Platform関連の試験
MB-XXX ⇒ Dynamics 365関連の試験
AI-XXX ⇒ AI関連の試験
DP-XXX ⇒ データエンジニアリング関連の試験
MD-XXX ⇒ Microsoft 365 環境でのWindowsクライアント関連の試験
具体的には下記のサイトから左上のフィルターで絞っていくというのがわかりやすいかと思います。https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/browse/?type=role-based
どうやって勉強すればいいのか?
こちらはAZ-900のサイトを例に記載をしていきます。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/ms-900/
URLのサイトの画面中ほどに下記のような画面が表示されるかと思います。
このラーニングパスを受けるというのが時間を問わない勉強方法となります。
fundamentalsの試験の場合はMicrosoft Virtual Training Days(https://www.microsoft.com/ja-jp/events/top/training-days)でトレーニングもありますのでこちらを受講するのがおすすめです。
その他一部の試験は書籍も出ています。
MCPは定期的に試験内容が更新されているので古い本の場合に問題が全然違うなどがあり得ます。発売ないしは改訂が新しく、以降に試験が更新されていないものが好ましいです。
※こういった状況のためにあまり受験者が多くない試験の本は出ないものと推測されます。
他にはUdemyなど動画コンテンツで勉強をする方も非常に増えています。
基本的にMCPの試験問題の漏洩は禁止となっているため違法なものも多々ありますが、合格のために割り切って使っている人などもいます。
具体的なサイトなどは書きませんが、問題集をそのまま売っているサイトやWEBで公開しているサイトなどもあります(答え間違えているものが多い印象がある)
試験対策にはどういったものが有効か?
「Microsoft Learn のプラクティス評価」というものが出ました。
受けたい試験で一度やって受けていただいて自分に難易度が合うのかなんて使い方もできるかと思いますし、テスト前の理解度の確認などにも利用ができると思いますので是非ご活用ください。
出題形式はどういったものがあるのか?
初めて受ける方はどんな問題形式なのか不安になる方も多いと思います。
公式に問題のパターンが公開されていますので受けたことがない方は早い段階で出題形式を把握するためにこちらをやることを強く推奨します。aka.ms/examdemo
合格基準や合格率は?
1000点満点で7割の700点合格となっています。
同じ試験を受けても毎回問題が変わるので問題数が違うために、〇問あっていれば合格という考えは避けたほうがよいです。また、合格/不合格関わらずスコアというのが出るのですが、各項目が7割を超えていても不合格となるケースはありますので、純粋に少しでも正答率を上げるように勉強することがおすすめです。
受験者数や合格率などは公開していないので探してもでてこないはずです。
試験時間も試験によって違うので各試験のサイトでご確認ください。
試験の注意点
MCPは英語で問題が作られてから各国の言語に翻訳されます。言い換えると英語が正なので各国の言語にする際にミスがあるなんてこともざらにあります。
ひどい問題のパターン
・まったく同じ選択肢が2つある
・環境を説明しているタブが表示されない
・日本語と英語で環境のパラメータが違う
・日本語が下手すぎて何言っているかわからない
いずれも試験官に言ったところで何も対応してくれませんので、英語に切り替え(日本語で申し込みしても英語に変換はできる)して確認することが必要となります。
試験を受けるにはどうしたらよいか?
Microsoftアカウントを作って(既存で持っていればそれでよい)それで試験の申し込みをする必要があります。
昔は組織アカウントとMicrosoftアカウントを意識せずに運用している方が多かったですが、試験合格は個人のスキル証明であるために、会社に関係しないMicrosoft アカウントで登録することが必要です。
※いまは組織アカウントで設定できないが、会社に関連するMicrosoft アカウントで申し込みして退職後に困るなんて話をいまだに聞きます。
先ほどのAZ-900を例で記載をすると下記の項目から画面遷移に従えば試験予約ができます。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/ms-900/
※申し込んですぐに受けれる試験ではなく予約して受ける試験なので注意すること
試験はどのように受けるか?
試験は大きく3つの受験方法があります。
一番右の選択肢は普通の方はないので現実的には2択となるのですが、自宅で受けるのかテストセンターで受けるのかといった違いとなります。
オンラインで受けたいという方も多いかと思いますが、「モニターが複数枚あってはいけない」とか「他者が入ってきたり通り過ぎたりしない」などの条件がありますので事前に確認必須です(環境がNGで受けることができなかったという人も聞いた事があります)
https://www.pearsonvue.co.jp/onvue-tips
個人的見解ですが、近隣にテストセンターがある方はそちらのほうが楽だと思います。
受験料を節約する方法
以前は上記で記載したMicrosoft Virtual Training Days(https://www.microsoft.com/ja-jp/events/top/training-days)でバウチャー(試験を受けるチケット)が配られていたのですが、2023年以降はほとんど配られていないようです。
Microsoft Learn Cloud Skills Challengeなどですべての項目をクリアするとバウチャーをもらえるというのは今年も行われていたので利用すると無料で受けることができます(すべての試験に対応しているわけではない)
※Microsoft のイベントに合わせて行われており、イベントに申し込むと無料でバウチャーがもらえるなんて年もありました。
有料の場合も「Exam Replay」という試験に落ちた場合に同一試験をもう1回受けることができる(合格した場合にほかの試験受けるということはできない)というバウチャーも存在します。https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/local-exam-replay.aspx
※私は自腹や会社請求の場合は上でバウチャー買うようにしています。fundamentalsは試験価格が違うので注意が必要です。
ほかにもMicrosoftのパートナーの場合に特定試験が半額になるといったものやMicrosoftとの関係によってはある程度融通してもらえるなんてケースもあるかと思いますので自社ですでにMCPを受けている方がいれば相談すると有益な情報が出てくることもあるかと思います。
合格した際の試験の更新
他の試験などでは有効期限がありそれを過ぎると失効といったものや毎年勉強をしてポイントを取得して申請するものもありますが、Microsoftはちょっと特殊と言えるかもしれません。
・fundamentalsは有効期限はありません
・1年毎の更新で180日前からオンラインで更新試験が受けられる(下記のようなメールが来る)
※何回受けても無料で2回以上落ちると24時間あければ再度受けられる。
※試験によっては有効期限がない(2つ試験に合格すると認定される試験の片方だけ合格している場合など)
最後に
ベンダー試験はAWSやCiscoだけではなくMicrosoftにもあります。
何社かで採用に関係していましたが、検索するときにMCPで検索するケースも事実としてありますので全くの無価値ではありません(答え丸暗記タイプで現場で単純作業もできなかったという人は聞いたことありますがw)
どうしてもベンダー試験は汎用的ではない点と試験費用の観点から嫌厭されがちですが、Microsoftがこういう使い方を想定しているんだなとかこの機能を推しているだなとかを感じることもできますし、ご興味ある方はぜひ受けてみてください。